2014年05月05日

リガトニのスタンド、パブリック・イメージ・リミテッドの元ネタ イギリスのロック・バンド パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd)

小説『ゴールデンハート/ゴールデンリング』のリガトニのスタンド「パブリック・イメージ・リミテッド」の元ネタは、イギリスのロック・バンド、パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd)通称PILだ。

パブリック・イメージ・リミテッドは、グイード・ミスタの回で触れたセックス・ピストルズのヴォーカル、当時のジョニー・ロットンがアメリカツアーの公演を最後にバンドを脱退し、新しく結成したバンドである。それと同時にジョニー・ロットンも本名のジョン・ライドンを名乗るようになる。それが1978年1月のピストルズ解散後、半年の出来事である。

サウンドはピストルズとはかけ離れたものになっていた。その要因はジョン・ライドンがピストルズ解散後に訪れたレゲエの本場ジャマイカを訪れたことによるものと思われる。そこで約3週間を過ごたジョンは、その後レゲエ好きの友人であり、ピストルズの親衛隊のようなものをやっていたベーシストのジャー・ウォブルと、元ザ・クラッシュのギタリスト、キース・レヴィンの3人に、オーディションで迎え入れたドラムのジム・ウォーカーを加えた陣容でPILは活動をスタートさせる。

そして1978年12月に1stアルバム『パブリック・イメージ(Public Image)』を発表する。しかし彼らのサウンドは周囲の予想とは大きく異なり、メンバー構成を見るとピストルズのようなパンクを期待するファンを大いに失望させるのである。重くうねる様なベースに、呪いを吐き出すかのようなジョンのヴォーカル、そして浮遊するようなギターのフレーズと、どれをとってもピストルズを思わせる要素は全くなかった。

そして約1年後の1979年11月に発表されたのが、今回紹介する彼らの代表作と言っていいだろう『メタル・ボックス(Metal Box)』である。このアルバム制作前にはドラムのジム・ウォーカーが脱退しており、この作品では曲によってキース・レヴィン、ジャー・ウォブル、デイヴィッド・ハンフリー、リチャード・ドゥダンスキ、マーティン・アトキンスがそれぞれ叩いている。イギリスでは初回限定5万セットが12インチ・シングル3枚組で本物のメタルの罐に入っているという変則的なものであった。

個人的にはミドル・テンポが10分以上にも及ぶ1曲目の「アルバトロス(Albatross)」の執拗に繰り返されるギターのリフ、重くうねるベース、そしてピストルズの時のようには疲れないジョンのヴォーカルが単調に続いていて、聴いていて病み付きになる。

2「メモリーズ(Memories)」はちょっとアップ・テンポで、どこか不安定なギターに、ここでも腹に響く重いベースがうまく絡まっている佳曲だ。次の3「スワン・レイク(Swan Lake)」は、クラシックのバレエ組曲「白鳥の湖」のフレーズをうまく使った、彼ら流のクラシックとアヴァンギャルドの融合だ。

ちょっとテクノっぽいインスト・ナンバーの6「ソーシャリスト(Socialist)」。7「墓場(Graveyard)」は、耳をつんざくようなメタリックなギターの音色が心地いい。同じような言葉を延々とバックで唱えるお経のような11「チャント(Chant)」。そしてラストを飾る、綺麗なメロディのインスト・ナンバー「ラジオ 4(Radio 4)」は、ピストルズでもPILでもないような変わったナンバーだ。

けっして商業的にヒットするような作品ではないが、ジョン・ライドンが「ロックは死んだ」と語ったように、ロックの新しい可能性、新しい領域を示したような先鋭的な作品である。


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