ドリー・パートンは、学生の頃すでにレコードを1枚出し、テレビにも出演していた。歌手として大きなチャンスが訪れるのが、1967年にカントリー歌手のポーター・ワグナーのテレビ番組「ポーター・ワゴナー・ショー」と彼らとの地方巡業によって少し名前を知られるようになる。このベスト・アルバムにも6、9、13、14と彼とのデュエット・ソングが入っている。
その後、今回の元ネタ「ジョリーン」や「クリア・ブルー・モーニング」がヒットし、1978年には「愛のほほえみ」がポップ・チャートの3位を記録する。そして1981年に『9時から5時まで』で映画デビューを果たし、同名主題歌を作曲して歌い、見事全米シングル・チャート1位を獲得している。彼女はグラミー賞に42回ノミネートされ、7回受賞しているカントリー・ミュージックを代表する女性シンガーだ。カントリーなのであまり日本では馴染みがない。
ほかにも有名な曲で1974年に発表した「オールウェイズ・ラヴ・ユー」があり、この曲はホイットニー・ヒューストンが映画『ボディガード』の主題歌としてカヴァーして世界的に大ヒットし、全米チャート14週連続1位という輝かしい記録を残す。ちなみにこの曲が収録されている『ボディガード』のサントラは全世界で4000万枚以上のビッグ・ヒットになっている。そんなすごい曲を作詞、作曲した彼女の才能に驚かされる。彼女のオリジナル・ヴァージョンはホイットニーほど声を張り上げていないので、個人的にはこちらの方が好きだ。ホイットニーの方はこれ見よがしなヴォーカルがちょっと耳にうっとうしい。
「ジョリーン」は、抑え気味なギターのイントロから始まり「ジョリーン、ジョリーン、ジョリーン、ジョリーン」という印象的なフレーズが続く、どこかちょっと悲しげな感じのする歌だ。内容は主人公がジョリーンに対して「お願いだから私の恋人を取らないで」と切々と語り、「私はあなたにはかなわないんだから」ということの理由がつづられている。ジョリーンは面白半分に誘いをかけていて、悪い女のようで漫画のジョリーンとは大分イメージが違う。
ほかにもこのベストアルバムにはビートルズの「ヘルプ」のカヴァーという異色なものもある。カントリー・ブルーグラス調のなかなかスピード感があって、いいカヴァー・ヴァージョンだ。
最後にジョリーンのスタンド「ストーン・フリー」について、元ネタはザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの楽曲「ストーン・フリー(Stone Free)」だが、この曲はシングル・カットされるも、全米、全英ともチャート・インしていない。この曲が収録されているアルバム『アー・ユー・エクスペリエンスト?(Are You Experienced)』は第5部のフーゴの時に触れている。
ラベル:ストーンフリー