2014年05月15日

州立グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所の元ネタ ジャズのスタンダード「On Green Dolphin Street」

主要キャラクター二人を紹介したところで今回は、このシリーズの舞台になっている州立グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所の元ネタを紹介しておこう。このグリーン・ドルフィン・ストリートは、ジャズのスタンダード・ナンバー「On Green Dolphin Street」が元ネタである。

この曲は1947年の映画『大地は怒る(Green Dolphin Street)』のテーマ曲として、ポーランドの作曲家ブロニスラウ・ケイパーが作曲し、あとからアメリカの作詞家ネッド・ワシントンが歌詞をつけてジャズのスタンダード・ナンバーとして親しまれるようになる。数多くの人が取り上げているが、今回はそんな中でもジャズの帝王マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のライヴを紹介しよう。

マイルス・デイヴィスはジョジョの次のシリーズ『スティール・ボール・ラン』でも出てくるが先にここで紹介しておこう。彼は1926年にアメリカはイリノイ州のアルトンで歯科医の父親と、ヴァイオリンとピアノを弾き、オルガンを教えていた母親のもとに下に生まれる。そしてすぐにイースト・セントルイスに移り住む。そして9歳ごろ父親の友人の医師にトランペットをもらい、13歳の誕生日に父親に新しいトランペットをプレゼントされ、個人レッスンを受けながら中学、高校と腕を磨いていく。

そして1943年、17歳の時に両親の離婚を経験し、エディ・ランドールが率いるブルー・デヴィルズに参加しする。翌44年には、その頃セントルイスを訪れていたビリー・エクスタインのビッグ・バンドに2週間ほど参加する。このビッグバンドにいたのが彼に大きな影響を与えたアルト・サックスのチャーリー・パーカーであり、他にもマイルスと同じトランペットのディジー・ガレスピー、女性ジャズ・シンガーのサラ・ヴォーンなどがいた。

その後ニューヨークに出て、「ミントンズ・プレイハウス」というクラブでジャム・セッションを繰り返す日々が続く。そしてパーカーと再会した彼は、パーカーとの初のレコーディングを行う。さらに47年8月にはリーダーとして初のレコーディングを行う。その頃アレンジャーのギル・エバンスと出会い、パーカーらが創出したビ・バップの次のジャズの形態を生み出すことになる。その瞬間をとらえた作品が『クールの誕生(Birth of the Cool)』である。この作品がレコーディングされたのが49年から50年にかけてであり、彼はこの頃から他のミュージシャンと同じようにドラッグにはまっていく。

クール・ジャズをぬけてさらにその先のハード・バップへと彼は進んでいく。しかしこの頃の彼はドラッグにもお酒にもどっぷりと漬かっており、住む所もなく仲間の部屋を転々とし、ジャズクラブのブラック・リストにも載り「バードランド」以外では演奏できるクラブがなかったというどん底の状態でレコーディングされたのが傑作『ディグ(Dig)』である。なぜこのような状況でこれほどの名作を生み出せるのか不思議でならない。さすがはマイルスだ。その後ドラッグを絶つために父親の農場で過ごすことに。

そしてドラッグ絶ちに成功した彼は1954年2月に再びニューヨークにやってきて名作を量産していくことになる。あまりにも名作が多いのでタイトルは挙げないが、どれを聴いてもはずれはないだろう。そして1959年にはハード・バップのその先モード・ジャズの名作『カインド・オブ・ブルー(Kind of Blue)』をレコーディング。モード・ジャズの名作というよりジャズを代表する傑作だろう。その約2年後の1961年の4月に収録されたのが、今回紹介する『ブラックホークのマイルス・デイビス(At the Blackhawk)』のライヴである。

4月の21日と22日の2日にわたって行われたライヴの模様をとらえた作品で、メンバーはテナー・サックスのハンク・モブレー、ピアノのウィン・トンケリー、ベースのポール・チェンバース、ドラムのジミー・コブというサックス以外は『カインド・オブ・ブルー』と同じメンバーである。ピアノのウィントン・ケリーは『カインド・オブ・ブルー』では1曲のみの参加であるが。アルバムとしては非常に聴きやすい。ジャズ初心者が聴くにはちょうどいいのではないだろうか。言い換えればマイルスらしくないのだが。マイルスのアルバムの中で一番、普通のジャズをしている感じで、スタンダード・ナンバーが目白押しだ。ジャズの何たるかを知るにはうってつけである。乱暴に言えば「普通のジャズ・アルバム」だ。しかし演奏は超一級品である。マイルスは当然のごとく素晴らしいのだが、それ以上なのがピアノのウィントン・ケリーだ。ちょっと難点を言えば、名作『カインド・オブ・ブルー』から代わったテナーのハンク・モブレーだろうか。ジョン・コルトレーンの後というのは正直きついと思う。コルトレーンの偉大さから考えると、ちょっと落ちるのだ。

ちなみに「On Green Dolphin Street」は他にもビル・エヴァンス、オスカー・ピーターソン、ハービー・ハンコック、ソニー・ロリンズ、ウィントン・ケリー、キース・ジャレット、スタン・ゲッツ、エリック・ドルフィー、ジョン・コルトレーン、ウォルター・ビショップ・Jrなど多数が取り上げている。


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