2014年05月28日

ウェザー・リポートのスタンドと隠された能力ヘビー・ウェザーの元ネタ アメリカのフュージョン・グループ ウェザー・リポート(Weather Report)

ウェザー・リポート(本名ウェス・ブルーマリンであり、エンリコ・プッチ神父の弟ドメニコ・プッチ)のスタンド「ウェザー・リポート」とその隠された能力「ヘビー・ウェザー」の元ネタは、アメリカのジャズ・フュージョン・グループ、ウェザー・リポート(Weather Report)のアルバム『ヘヴィ・ウェザー(Heavy Weather)』。

ウェザー・リポートを説明するにあたってはマイルス・デイヴィスに触れない訳にはいかないだろう。マイルスはグリーン・ドルフィン刑務所の回に触れているので今回はその続きあたりから。

名作『カインド・オブ・ブルー』でモード・ジャズを確立した彼は、次のステージへの模索を始めるがジョン・コルトレーンの抜けた穴は大きく、停滞の時期を迎える。納得のいく新しいテナー・サックス奏者がなかなか見つからず、この時期はライヴに重きを置いた活動となり、1963年に若き天才ドラマー、トニー・ウィリアムスを迎えたことにより、彼の時計は再び動き始める。『マイルス・デイヴィス・イン・ヨーロッパ』、『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』、『フォア&モア』などの傑作ライヴ・アルバムは残しているところが、さすがはマイルスだなと思う。

しかし次のステージへ進むにはどうしても優れたテナー・サックス奏者が必要であった。64年に念願のウェイン・ショーターが加入し、66年の『マイルス・スマイルズ』あたりからロック的なアプローチをし始める。当時盛り上がりを見せていたロックにマイルスが接近したというより、ジャズではない何かを模索し始めたのではないだろうか。そしてエレクトリックサウンドに関心を持った彼は『マイルス・イン・ザ・スカイ』で、ハービー・ハンコックにエレクトリック・ピアノを、ロン・カーターにエレクトリック・ベースを演奏させるが思ったようなサウンドにはならず、次の『キリマンジャロの娘』ではハービー・ハンコックをチック・コリアに、ロン・カーターをデイヴ・ホランドに代えている。そしてさらにエレクトリックサウンドを進めるために、ギターのジョン・マクラフリンとキーボードのジョー・ザヴィヌルを迎えて発表されたのが『イン・ア・サイレント・ウェイ』である。このタイトルは次のシリーズのスタンドに出てくるのでアルバムの説明はそのときに。そしてエレクトリック・マイルスが完成の域に達するのが次の『ビッチェズ・ブリュー』である。

いつウェザー・リポートが出てくるのかと怒られそうだが、ここで得た経験によってメンバー各々がフュージョン・バンドを結成することになる。その中の一つがジョー・ザヴィヌルとウェイン・ショーターが中心になって結成したウェザー・リポートである。他にはチック・コリアがリターン・トゥ・フォーエヴァーを、ジョン・マクラフリンがマハヴィシュヌ・オーケストラを結成する。サウンドも自然と『ビッチェズ・ブリュー』からの影響が見られる。

しかしウェザー・リポートの8枚目となるアルバム『ヘヴィ・ウェザー(Heavy Weather)』ではさすがに『ビッチェズ・ブリュー』の影は薄い。この作品はアメリカの音楽誌「ダウン・ビート」で1977年のジャズの「アルバム・オヴ・ザ・イヤー」に輝いており、発売当時で50万枚を売り上げ、ジャズとしては異例のヒットとなる。そして前作から参加している天才ベーシスト、ジャコ・パストリアスも素晴らしい演奏を聞かせている。

そんなアルバムの中でも一番はやはり1「バードランド(Birdland)」だろう。アコースティック・ピアノとパーカッションが特に素晴らしく、そして親しみやすく耳に残るリフが続き、後半になってジョー・ザヴィヌルのシンセサイザーがソロをとり、この曲を盛り上げていく。ジョンガリ・Aで登場したマンハッタン・トランスファーがこの曲をカヴァーしてグラミー賞を獲得しているが、このヴァージョンはあまり深みが感じられない。

なぜこんなダサい邦題が付いているのか疑問な2「お前のしるし(A Remark You Made)」は、ジャコ・パストリアスの哀愁を帯びたメロディが胸を打ち、後半に聴けるジョー・ザヴィヌルのシンセサイザーがまたここでも素晴らしい。3「Teen Town」はジャコ・パストリアスの作曲だけあって最初から彼のベース・プレイが堪能できる。しかし同じジャコ・パストリアス作曲の8「Havona」とあまり違いを感じない。

4、6はウェイン・ショーター作曲だが、ジョー・ザヴィヌルとの実力の差が出てしまったように感じる、あまりパッとしない曲だ。5「Rumba Mama」はあってもなくてもどっちでもいい余興的な曲だ。7「The Juggler」もジョーザヴィヌル作曲でなかなか捨てがたい曲に仕上がっている。特にここで聴けるソプラノ・サックスの音色がいい。このようにジョー・ザヴィヌルの才能が遺憾なく発揮された、ジャズ・ロックと呼ばれたフュージョンの名作であるが、やっぱり1「バードランド」に尽きるだろうな、このアルバムは。


posted by captainhiltz at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ/フュージョン その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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