クイーン4度目の登場の今回は、第6部のウンガロの続きから。『オペラ座の夜』の後、76年には初のセルフ・プロデュース作『華麗なるレース』を発表する。この作品は予約だけで50万枚を売る大ヒットに。全英と日本でチャート1位を記録し、全米でも5位を記録する。特に日本のファンが感動したのが、「手をとりあって(Teo Torriatte)」が日本語で歌われていたことだろう。翌77年には、「ウィ・ウィル・ロック・ユー」、「伝説のチャンピオン(We Are the Champions)」という名曲が収録された『世界に捧ぐ』を発表し、全英4位、全米、日本ともに3位を記録する。さらに翌78年には音楽的な幅の広さを証明した『ジャズ』を発表し、全英2位、全米6位、そして日本で5位を記録する。
そしてライヴ・アルバムをはさんで発表されたのが、第4部の吉良の時に紹介した『ザ・ゲーム(The Game)』である。そして80年には、アメコミのくだらないSF映画『フラッシュ・ゴードン』のサントラを手がけ、81年には彼ら初のベスト・アルバム『グレイテスト・ヒッツ』を発売する。このベスト盤は世界中で大ヒットし、本国イギリスでは580万枚を売り、ビートルズやオアシスを押さえて、最も売れたアルバムとされている。82年には、イギリスで1位を獲得したデヴィッド・ボウイとの共作曲「アンダー・プレッシャー」が収録された『ホット・スペース(Hot Space)』を発売。
84年にはアメリカの女性歌手レディー・ガガの芸名の元になった「Radio Ga Ga」が収録された『ザ・ワークス』を発表し、世界中でヒットする。86年にはファンタジー映画の名作『ハイランダー 悪魔の戦士』のサントラ『カインド・オブ・マジック』を発表する。89年に『ザ・ミラクル』、そして91年に、フレディ・マーキュリー存命時に発表された最後のアルバムとして、そして実質的な最後の作品として『イニュエンドウ』を発表し、シングル「イニュエンドウ」も全英で久しぶりの1位を獲得する。そして1991年の11月24日、フレディ・マーキュリーがHIVにより死去する。享年45歳。あれほど素晴らしい声と、作曲能力がこの若さで失われたのは非常に残念だ。
そしてフレディの死去から4年の歳月をかけて完成させ、1995年の11月に発売されたのが、今回の元ネタになっているアルバム『メイド・イン・ヘヴン(Made in Heaven)』だ。前作時に残された音源やデモ段階の作品を残った3人のメンバーがオーバーダビングを重ねて完成させた、クイーン最大のヒット作だ。全世界で2000万枚を超える大ヒットになり、日本では特に「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」が木村拓哉主演のドラマ『プライド』の主題歌に使われたり、数多くのCMに使用されたりと馴染みがあり聞いたことがある人は多いと思う。「イッツ・ア・ビューティフル・デイ」もホンダのフィットのCMに使用されていたので耳にしているだろう。ちなみに「メイド・イン・ヘヴン」は、85年にフレディが発表したソロ・アルバム『ミスター・バッド・ガイ(Mr. Bad Guy)』に収録されていた曲にメンバーが新たに演奏を差し替えたヴァージョンである。「ボーン・トゥ・ラブ・ユー」も同様の処理がなされている。個人的には9曲目の「ユー・ドント・フール・ミー(You Don't Fool Me)」が、ヴォーカルも抑えた感じで、ちょっとフュージョンっぽい大人なロックに仕上がっていて、このような路線のクイーンをもっと聴いてみたかったと思う。
ジョジョの奇妙な冒険、第6部ストーンオーシャン、完。