2014年07月15日

ポコロコの元ネタ アメリカのジャズ・ピアニスト バド・パウエル(Bud Powell)の楽曲「ウン・ポコ・ローコ(Un Poco Loco)」

ポコロコの元ネタは、アメリカのジャズ・ピアニスト、バド・パウエル(Bud Powell)の楽曲「ウン・ポコ・ローコ(Un Poco Loco)」。

「狂気の天才」などと称されることの多いバド・パウエルは、1924年の9月にニューヨークで生まれ、祖父、父、兄、弟、みんなミュージシャンという音楽一家で育った。少年期にクラシックを学び、7歳でバッハ、ベートーベン、ドビュッシー、リストなどを演奏したと言われるほどの天才である。その後、アートテイタムなどの影響でジャズに興味を持つようになり、兄のウィリアムがいるバンドに加入したのが高校を中退した頃のことだ。

そして41年ごろに、ニューヨークのハーレムにあった、ビ・バップの聖地的存在のミントンズ・プレイハウスでジャム・セッションを繰り返すようになる。そして当時すでに有名だった先輩格のセロニアスモンクと出会い多くを学ぶ。バドはパリ時代に、モンクに捧げる『ポートレイト・オブ・セロニアス』というアルバムを発表している。そんなモンクから教えを受けた彼は、43年からクーティ・ウィリアムスのバンドに入る。

そして47年に初のリーダー・アルバム『バド・パウエルの芸術』をレコーディングしている。この作品は47年のトリオを中心に、53年の異なるトリオでの演奏も含めた形でリリースされる。モダン・ジャズ・ピアノの名盤と言えばこの作品を思い浮かべる人も少なくないと思う。そしてここでのトリオ編成(ピアノ、ベース、ドラム)が、これ以降のスタンダードとなる。以前はナット・キング・コール・トリオなどに代表されるピアノ、ギター、ベースというのが一般的な編成であったが、バドが歴史を変えたのだ。このアルバムは、ジャズをこれから聞こうと思っている人にも充分、その素晴らしさがわかると思う。

その後49年から56年まで在籍したヴァーヴ・レーベルでも名演を残している。『ジャズ・ジャイアント』、『ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル』がその決定打だろう。そして時を同じくして、ジャズを代表する名門レーベル、ブルー・ノートに残したのが『アメイジング・バド・パウエル』シリーズだ。そして、そのvol.1に収録されているのが、今回の元ネタになっている「ウン・ポコ・ローコ」である。ここには49年の8月と、51年の5月に吹き込まれたものが入っており、「ウン・ポコ・ローコ」は、ベースにカーリー・ラッセル、ドラムにマックス・ローチというトリオで3バージョンが収録されている。他にこのトリオで、「チュニジアの夜」が2バージョン、「パリジャン・ソロフェア」、そしてバドのソロ「イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー」の7曲が51年収録。そして49年の収録もメンバーがなかなか強烈だ。特に「異教徒たちの踊り」、「52丁目のテーマ」、「ウェイル」、「バウンシング・ウィズ・バド」は、トランペットがファッツ・ナヴァロ、テナー・サックスがソニー・ロリンズ、ベースがトミー・ポッター、ドラムがロイ・ヘインズという強力な布陣だ。特にファッツ・ナヴァロの演奏は、1年も経たない50年7月に麻薬中毒と結核により26歳という若さでこの世を去っているだけに、感慨深いものがある。当時トランペットではNo.1だったのではないだろうか。逆にソニーロリンズは、まだ現役でプレイしている。2010年には来日公演もしている。本当に最後のジャズの巨人だ。話をアルバムに戻して、最後に残った「オーニソロジー」が、バド、トミー、ロイのトリオ演奏だ。

「ウン・ポコ・ローコ」は、ちょっとマックス・ローチのカウ・ベルが浮いてるように感じなくもない、テイク1、マックス・ローチの高速リム・ショットも強烈だが、その上をはるかにいくバドのスピード感あふれるテクニックには「驚愕」の一言のテイク2、そして当時10インチ・レコードに採用されたのが3曲目のバージョンである。そしてどれも捨てがたいと思った、ブルー・ノートの創設者アルフレッド・ライオンがLPレコード発売に際し3バージョンとも収録したのだ。この判断には「ありがとう」と言いたい。

この後ブルー・ノートに4枚のリーダー・アルバムを残しているが、麻薬中毒や精神障害などで入退院を繰り返し、出来、不出来に波がある。そしてパリでしばらく過ごした後、アメリカに帰国するが、その2年後の1966年7月に41歳という若さでこの世を去る。全盛期の期間は非常に短かったが、それでも後世のピアニストに与えた影響は計り知れないものがある。とにかく彼の超絶テクニックに酔いしれて欲しい。


posted by captainhiltz at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ/フュージョン その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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