2014年08月01日

ブンブーン一家の各愛馬の元ネタ ジミ・ヘンドリックスの楽曲「クロスタウン・トラフィック」、「フォクシーレディ」、「リトル・ウイング」

ブンブーン一家のそれぞれの愛馬、ベンジャミンの「クロスタウン・トラフィック」、アンドレの「フォクシーレディ」、L.A.の「リトル・ウイング」の元ネタは、ジミ・ヘンドリックスの楽曲。「クロスタウン・トラフィック」が3rdアルバム『エレクトリック・レディランド(Electric Ladyland)』の2曲目、「フォクシーレディ」が1stアルバム『アー・ユー・エクスペリエンスト?(Are You Experienced)』の1曲目、「リトル・ウイング」が2ndアルバム『アクシス:ボールド・アズ・ラヴ(Axis: Bold As Love)』の6曲目。

1stアルバムと3rdアルバムは以前触れたのでそちらを参考にして頂くとして、今回は「リトル・ウイング(Little Wing)」収録の2ndアルバム『アクシス:ボールド・アズ・ラヴ』を紹介しておこう。

1967年の5月にイギリスでデビュー・アルバムを発表した後、早くも同年12月にイギリスで発表されたのが2ndアルバム『アクシス:ボールド・アズ・ラヴ』であり、全英で5位、全米でも3位というヒットを記録する。そしてこのアルバムの目玉が何と言っても、今回の元ネタになっている「リトル・ウイング」だ。とにかくジミのギターが素晴らしく、スローなナンバーで泣きのギターがたまらない。2分30秒ほどと短いのが惜しい。もっとジミの泣きのギター・ソロを聴いていたいナンバーだ。この曲に魅了されたアーティストも数多く、カバーがかなりの数発表されている。

その中でも珠玉の出来はやはり、エリック・クラプトンのデレク・アンド・ザ・ドミノスが発表した『いとしのレイラ(Layla)』のバージョンだろうか。こちらは5分30秒以上もあり、クラプトンのギターが堪能できる。しかしジミのほうが泣いてるような感じがする。

元ポリスのスティングも1987年発表のアルバム『ナッシング・ライク・ザ・サン(...Nothing Like the Sun)』でカバーしているが、こちらはギターがメインというよりスティングの歌に重きを置いた感じだ。さすがに彼のヴォーカルはジミやクラプトンよりかなりうまく、2人より洗練された感じのするバージョンだ。

個人的に好きなのは、今は亡きアメリカのブルース・ギタリスト、スティーヴィー・レイ・ヴォーン(Stevie Ray Vaughan)のインストゥルメンタル・バージョンだ。ヴォーカルがないだけにギターを堪能できる最高のバージョンだ。聞いたことがない人は彼の追悼盤『The Sky Is Crying』を聞いて欲しい。7分近いこのバージョンは圧巻の一言だ。

ちょっと変わったところで、アメリカのジャズ・デュオ、タック&パティ(Tuck & Patti)のバージョン。こちらはジャズ・ギタリストだけあって上手いが、でもあまり泣きのギターではない。オシャレな感じのバージョンで個人的にはちょっと物足りない。

他にもジェフ・ベックやTOTO、80年代に活躍したボンジョヴィの弟分のスキッド・ロウ、アイルランドのフォーク・ロック・バンドのザ・コアーズ、ジャズの大御所ギル・エヴァンスなど本当に多くのアーティストにカバーされたジミが発表した中でも上位に位置する名曲だ。

それ以外の曲も解説しておこう。まず1曲目の「放送局EXP(EXP)」は、擬似放送局のEXPでミスター・ポール・カルーゾに扮するジミに宇宙船や宇宙人に関するナンセンスについて質問するという何とも変わったインタビューで始まり、その後にノイジーな音が大きくなったり小さくなったりする非常に実験的なオープニングである。はっきり言って曲ではない。続いて始まる「空より高く(Up from the Skies)」は、非常に軽いテンポの曲でジミのワウワウ・ギターとジャズを意識したドラムが曲調にピッタリとくる。次にくる「スパニッシュ・キャッスル・マジック(Spanish Castle Magic)」は、ジミ節全快のギターから始まる、とにかくサウンドが派手で、最後にもジミのギター・ソロが堪能できる。この曲はジミがかつてよく演奏した、シアトルの外れにある「スパニッシュ・キャッスル・クラブ」にちなんだ曲だ。

続く4「明日まで待って(Wait Until Tomorrow)」はポップで非常に聞きやすいが、ドラムはかなり激しく腹にくる感じだ。5「エイント・ノー・テリング(Ain't No Telling)」はアップテンポで聞いていて気持ちいいのだが約2分ほどで終わってしまう。そして今回の元ネタ6「リトル・ウイング(Little Wing)」がきて、次にくる7「もしも もしも(If 6 Was 9)」は、重低音が響く彼ら流のブルースだが、ジミ以外の2人ベースのノエル・レディング、ドラムのミッチ・ミッチェルが非常にがんばっており、なかなか強烈なサウンドだ。

次の8「フローティング(You Got Me Floatin')」にはザ・ムーヴのロイ・ウッドとトレヴァー・バートンがコーラスで参加している。ノリはいいのだがちょっと印象の薄い曲だ。9「砂のお城(Castles Made of Sand)」の抑えたようなジミのしゃべるようなヴォーカルはどこかボブ・ディランを想像させる。次の10「シーズ・ソー・ファイン(She's So Fine)」はノエル作曲でヴォーカルも彼がとっている。サウンドはノエルの迫力のベースから始まり、シンバル連発のミッチといい、ジミのギターといい迫力満点だが、曲としてはあまりパッとしない。

11「雨を望めば(One Rainy Wish)」はスローなブルースで、ジミの中間部分に聞けるギター・ソロがいい。次の12「可愛い恋人(Little Miss Lover)」はタイトルに似合わずジミらしい迫力のサウンドが聞ける。そしてラストを飾るのがタイトル・トラックの「ボールド・アズ・ラヴ(Bold as Love)」。最初はゆったりとしたブルースで始まるのだが、3分辺りから様子がおかしくなってサイケデリックな感じでフェイドアウトしていく。

もしかしたらジミ・ヘンドリックスの中で一番聞きやすいかもしれない。他の2曲も軽く触れておこう。まずアンドレの「フォクシーレディ(Foxy Lady)」は、彼らの記念すべきデビューアルバムのオープニングを飾る曲で、のちにザ・フー(The Who)のヴォーカリスト、ロジャー・ダルトリーの妻となるヘザー・テイラーからインスピレーションを受けたらしい。しかし特定の女性へ向けたものではなく、女性一般のことを歌っている。Foxyとは、ずるがしこいといったような意味だ。残るベンジャミンの「クロスタウン・トラフィック(Crosstown Traffic)」はジミにまとわりつく女性たちを、都会の渋滞にみたてて歌っている。かつて日本でクルマのCMで使われていたので耳にした人も多いと思う。ジミのなかでも非常に人気のある曲だ。ちなみにバックコーラスで歌っているのは、かつてトラフィック(Traffic)というイギリスのバンドに在籍していたギタリスト、デイヴ・メイソンだ。つまり自分のバンド名を歌っているという、ジミのちょっとした遊び心で参加してもらったんだろうか。


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