2014年08月09日

フリッツ・フォン・シュトロハイムの愛馬ヨーロッパ・エクスプレスの元ネタ ドイツのテクノ・グループ クラフトワーク(Kraftwerk)のアルバム『ヨーロッパ特急(Trans-Europe Express)』

ジャイロ・ツェペリの追っ手のテロリストでスティール・ボール・ランのレース参加者フリッツ・フォン・シュトロハイムの愛馬ヨーロッパ・エクスプレスの元ネタは、ドイツのテクノ・グループ、クラフトワーク(Kraftwerk)のアルバム『ヨーロッパ特急(Trans-Europe Express)』。

クラフトワークはジョジョの奇妙な冒険、第5部のサーレーのスタンドとして登場し、簡単に触れているのでそちらも参考にして頂きたい。彼らが世界的に認知されるようになったのが、1974年に発表した4thアルバム『アウトバーン(Autobahn)』からのシングル・バージョンの「アウトバーン」が全米チャートで25位を記録し、ヨーロッパでもヒットしてからである。サウンドもそれまでの生楽器を演奏し、打ち込みのドラムで仕上げた変なサイケデリックな音楽から、モーグ・シンセサイザーと電子パーカションを導入した彼らの特色である電子音楽に完全に、完璧に移行する。このアルバムをひっさげてアメリカ、イギリスとツアーでまわり、多くのミュージシャンが彼らのとりことなり、影響を受けるようになる。特にデビッド・ボウイは、コンサートの最前列の席を買い占めたという。そして私が好きなアーティストであるジョイ・ディヴィジョン(Joy Division)のヴォーカリスト、イアン・カーティスもその1人だという。そしてイアンが亡くなった後に残ったメンバーで結成されたニュー・オーダー(New Order)のサウンドにも如実にその影響は現れている。

そしてクラフトワークは1975年にかなり実験的なアルバム『放射能(Radio-Activity)』を発表する。放射能を題材として扱っているように、2012年に幕張メッセで行われた反原発ライブ・イベントには彼らも出演し、坂本龍一が監修した福島の原発事故を意識した日本語の詞が使われた「放射能(Radioactivity)」を日本語のまま歌い、その後も世界中で歌い続けて現在の原発に対して警鐘を鳴らしている。しかしこのアルバムは、前作に較べるとそれほど評価が高くないのが不思議でならない。

そして1977年に発表されたのが、今回の元ネタになっている『ヨーロッパ特急(Trans-Europe Express)』である。前作は4thアルバム『アウトバーン』のポップさが影を潜めたたため米英でチャート・インしなかった。それを踏まえてなのか本作はポップさを取り戻していて非常に聞きやすいと思う。

いきなり9分を超える大作「ヨーロッパ・エンドレス(Europe Endless)」は、次にくるような暗い曲ではなく、どこかさわやかな雰囲気をもっている。2分ぐらいまでヴォーカルがなく、ピコピコと続くがその後は適度な間隔でヴォーカルが入り9分はあっと言う間に終わる。2「鏡のホール(Hall Of Mirrors)」はスローな一定のテンポが延々と8分近く続き、ヴォーカルも必要最低限で、どこか暗い雰囲気をもっている。この感じはジョイ・ディヴィジョンに相通ずるものがある。3「ショールーム・ダミー(Showroom Dummies)」はちょっとテンポがアップしているが、どこか物悲しく暗い雰囲気のサウンドで、そこにほとんど同じ歌詞(Schaufensterpuppen)がただただ続く。若干ヴォーカルに力が入る所もあるが、ほとんど一本調子に歌われる。そこが逆にくせになる。この曲は日本でも80年代にCMで使われたことがあるので耳にしている人もいるかもしれない。シングル・カットもされてヒットしている。個人的にはこの曲がこのアルバムのベスト・トラックだ。似ているわけではないが、なぜかこの曲を聴くとアメリカの前衛音楽のグループ、レジデンツ(The Residents)を思い出す。

次にくるのが元ネタにもなっているタイトル・トラック4「ヨーロッパ特急(Trans-Europe Express)」。この曲は、ヒップ・ホップの草創期のスター、アフリカ・バンバータ(Afrika Bambaataa)がシングル「プラネット・ロック(Planet Rock)」でサンプリングしており、ヒップ・ホップ世代にとっても有名だ。タイトルどおり電車の音を模したような同じリズムが延々と続き、まるで特急に乗っているような間隔に陥る。そして継ぎ目なく同じリズムが続く5「メタル・オン・メタル(Metal On Metal)には対抗列車が通過するように聞こえる音があったり、より機械っぽくなったヴォーカルが「Trans-Europa Express」を繰り返したりし、最後には終着駅に着いたような音で幕を閉じる、13分を超える超大作。2曲(6:52と6:40)に分かれているが1曲として捉えて聞きたい。

インストゥルメンタルの6「フランツ・シューベルト(Franz Schubert)」はもちろん、交響曲第8番「未完成」などで有名なオーストリアが生んだ大作曲家フランツ・シューベルトのことだが、なぜこの『ヨーロッパ特急』に出てくるのか不思議だ。この後にラストを飾る「エンドレス・エンドレス(Endless Endless)」が継ぎ目なくあるので、もしかしたら「未完成」を指してエンドレス(終わりがない)と言ってるのか。『ヨーロッパ特急』のコンセプトは5曲目の最後に出てくる到着したような音で終わっているのか。解釈はそれぞれだろう。歌詞がないだけにどのようにも受け取れる。

ちなみに今発売されているCDでは特急のイラストになっているが、この作品はやっぱり、メンバーが各々違う方向を見つめている顔のジャケットが断然いい。このサウンドにはこのジャケットだ。




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